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風が強く吹いている
「走るの好きか?」
激しい情熱を秘めてどこまでも黒い目が、純粋な光を宿してまっすぐに問い返してくる。
あんたはどうなんだ。そんな質問に答えられるのか、と。

「風が強く吹いている」 三浦しおん 著



CDドラマ化、漫画化、映画化とされているので面白そうと思っていたんですが、ようやく読みました。全508ページ。面白かった。
大学生が箱根駅伝を目指す物語です。スパルタな男臭い世界を想像していたのですが、全然違いました。漫画的でスイスイ読めます。

「俺たちみんなで頂点を目指そう。」
ある日、4年の灰二(ハイジ)がボロアパートの住人を集めて宣言します。
アパートの住人は陸上に関してほとんど素人です。
くじけそうになる住人達をハイジはあの手この手で練習させます。

1年生の走(カケル)は高校では有名ランナーだったのですが、トラブルを起こして陸上から遠のいていました。
ハイジにのせられ、他の住人達と一緒に箱根を目指す事になります。当然、自分と他の住人との力量差に困惑し、他の住人とぶつかり合いになります。

「彼らの真摯な走りを、なぜ否定する!きみよりタイムが遅いからか。君の価値基準はスピードだけなのか。」
ハイジはカケルに再び問います。
「長距離選手に対する、一番の褒め言葉がなにかわかるか」
「速い、ですか?」
「いいや、『強い』だよ」

箱根駅伝には10人ランナーが必要なので、ハイジ、カケル以外にも個性的な8人の住人がいます。それぞれ魅力的にえがかれていて、やりとりも面白いです。
全てがおわったあと・・・


ハイジは笑った。心の底からうれしそうに。そして、全員の顔を眺めわたして言った。
「頂点がみえたかい?」


マラソンとか駅伝って、陸上に詳しくない人がTVで観たら、知らん人が走っているだけじゃないですか。
でも、気付いたらずっとTVを観ている、って事ありません?なんかこの本読んだら、そのなぞがとけました。


送られた映像は、やや乱れながらもカケルの力走を伝える。ぶれも歪みもない、完璧なフォーム。そこから繰り出される強さと速さが、「走りとはこういうものだ」と見るものに告げている。
「うつくしいな」とハイジはつぶやく。
「こんな走りを見せられたらいやになりますよ」
隣に立つ後輩はやるせなく笑った。
その気持ちは、ハイジにもよくわかる。完全なる美と力をまえにして、できることは無に等しい。見つめ、求められずにはいられない。
「努力で全てがなんとかなると思うのは、傲慢だということだな」
励ますようにハイジは言った。自分自身に言いきかせる言葉でもあった。
「陸上はそれほど甘くない。だが、目指すべき場所はひとつじゃないさ」
物理的に同じ道を走っても、たどりつく場所はそれぞれちがう。どこかにある自分のためのゴール地点を、探して走る。考え、迷い、まちがえてはやり直す。
| ともりん | | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
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Comment
2010/09/09 8:42 PM posted by: うと
しおんのしおり読んで、小説に手を出したがダメだった。
2010/09/09 10:12 PM posted by: ともりん
この人の他の小説は読んでないですけど、「おおきく振りかぶって」が好きな人ならこの作品であれば大丈夫ですよ。
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